Ellis

【豆の眼力】ルールを理解する者はラグビーを制す〜マイケル・リトル選手の技術

SR第8節。サンウルブズは豪州の強豪ワラタスに敗れ開幕6連敗を喫した。連敗という事実がクローズアップされがちだが、攻撃陣の奮闘など随所に良いプレーがみられた。今回は首藤氏がマイケル・リトル選手のプレーを解説する。ラグビーのルールを熟知したリトル選手だからこそできたトライとは。

Ellis Web編集部

1.開幕6連敗を喫す

4月7日。スーパーラグビー第8節が秩父宮ラグビー場で行われた。優勝経験もあるワラタス(豪州)に挑んだサンウルブズだったが29-50で敗れ開幕6連敗を喫した。 攻撃では4トライをマークするなど意地を見せたが、ディフェンス面で簡単に突破を許すなど課題が浮き彫りになった。

首藤甲子郎氏

2.トライを決めたマイケル・リトル選手

今回は前半9分にトライを決めたCTBマイケル・リトル選手(No.12)のトライを解説していきたい。
彼の父親は伝説の名プレーヤー、ウォルター・リトル氏。オールブラックスで50キャップを誇る世界的名CTBだ。リトル選手はこの試合で父親顔負けのある技術を披露する。 7点ビハインドで迎えた前半10分。敵陣ゴールまで5mの位置、サンウルブズボールのスクラムからの攻撃。ボールアウトするSH流大選手(No.9)から直接ボールを受けたリトル選手は、相手DFとコンタクトし一度は倒されるのだが、ここからある技術を使いトライラインまで一気にボール運んだ。

3.ラグビーのルールを活用

その技術とは、ルールをうまく使った技術だ。
当たり前であるがタックル局面では、ディフェンスとアタック側にそれぞれ
ルールが存在する。 今回絡んでくるルールは以下の3つだ。 ①DF側は倒した相手をすぐに離さなければならない
②AT側はすぐにボールを離さなくてはならない
③その際、周りにいる選手がラック(タックル直後を含めた地上にあるボールに対し、敵と味方それぞれ1名以上が身体を密着させた状態)を形成した場合は、タックルされた選手は下にあるボールに働きかけることができない。
↓動画はこちら!(0:37からリトル選手のプレー)

このルールを踏まえた上でリトル選手の一連の動きを見てほしい。
彼は、相手DFのタックルを受けて倒された次の瞬間、一度保持していたボールを地面に置き再び立ち上がると同時にもう一度そのボールをピックアップしたのである。
前述したタックル局面でのルールを考えると、少し迷いが生じるこの場面。順を追って説明すると全く反則でもなく、むしろルールをうまく使った技術であると言える。 詳しく説明していく。まず、相手DFの動きに注目すると、リトル選手の体から手を離しているのがわかる(ルール①)。そしてリトル選手は次の動きでボールを離し、しっかりと地面に置いていることが確認できる(ルール②)。そして最後に周りの選手に注目してほしい。タックルにいった相手DF選手以外どの選手もこのタックル局面に参加していないのがわかる(ルール③)。 すなわちこの局面では、タックルは成立してはいるが、上記の②さえしっかりと守っていれば再度プレーを続けることができるのである。

リトル選手は相手DFがコンタクトにこない一瞬の隙をつきトライを決めた。 ルールを理解し、それを踏まえた技術を世界レベルのゲームで瞬時に披露できるのはまさにプロである。

4.次こそ初勝利を

現代のラグビーでは、この局面でのボール争奪がよりスピーディーに行われ、このような場面が生まれることが少ない。

サンウルブズには、この技術に長けた日本人選手もいる。次戦は昨季勝利したNZカンファレンス最下位のブルースとの対戦。
次こそ今季初勝利を掴んで欲しい。

執筆:首藤甲子郎氏
編集:EllisWeb編集部