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【日本最小ラガーマンが語る豆の眼力】勝利を掴んだ、菊谷崇選手のミラクルプレー

トップリーグ第7節。今週はキヤノンイーグルス・菊谷崇選手のチームを勝利に導いたミラクルプレーについて解説する。菊谷選手はこの日、リーグ戦150試合出場という金字塔を打ち立てた。自らの記念試合でミラクルプレーを繰り出す菊谷選手はまさにスター。そのスターが魅せた「ジャッカル」に隠された技術に注目だ。

Ellis Web編集部

1.全勝の神戸製鋼に挑んだキヤノン

©️キヤノン

トップリーグ第7節。

今回は、神戸製鋼コベルコスティーラーズ対キヤノンイーグルス戦で見られたミラクルプレーについて解説していきたい。

6節終了時点で全勝の神戸製鋼に対し、 今季は第1節から5連敗と思うような力が出せていないキヤノンがどこまでくらいつけるかといったところが大方の予想であった。

しかし、試合は前半から予想を上回る内容で進み、後半ロスタイムまで一進一退の攻防が続いた。

2.勝利を掴んだミラクルプレー

©️キヤノン

31-26。キヤノンがリードして迎えた後半ロスタイム。

キヤノンはワントライワンゴールを取られると逆転という場面でミラクルプレーが生まれた。

そのミラクルプレーを生み出した選手こそ、先日、今季限りでの現役引退を発表した、元日本代表キャプテンの菊谷崇選手(背番号5)である。

キヤノンは自陣ゴール前で神戸製鋼ボールのスクラムから6フェーズもの鋭いアタックに耐えることになるのだが、 最後の6フェーズ目に試合を決めるジャッカル(相手のボールを奪い返すプレー)を炸裂させたのである。

実はこの試合、菊谷選手は後半64分にもゴール前でジャッカルによりピンチを救っていたのだ。

もちろんこのジャッカル局面での技術は菊谷選手ならではの強さや低さがあったのだが、実は、そこに至るまでにも見えない技術があったのだ。

3.ジャッカルに隠された技術

©️キヤノン

この、神戸製鋼ボールスクラムから、6フェーズを重ねてジャッカルをするまでの間、 菊谷選手の「顔の動き」に注目していただきたい。

多くの選手が、ポイント(ボールのある場所)に意識を集中する中、菊谷選手は、要所要所で、顔を振りながら敵の状況を確認しているのがわかる。

これをすることで、相手アタックのライン構成・人数・アタックオプションなどを瞬時に把握し、次に起こりうるプレーに対して、自分がすべき仕事が明確になる。

菊谷選手は、この「顔の動き」により状況判断が明確になったことで、 最後に孤立しアタックしてきた選手に対し迷いなくジャッカルに行けたのではないだろうか。

この見えない技術こそ、世界を相手にチームの危機を幾度となく救ってきた菊谷選手の真骨頂である。

4.記念試合でミラクルプレー…菊谷選手のスター性

©️キヤノン

さらに、この試合は、菊谷選手にとって節目のリーグ戦150試合出場を記録した試合でもあった。

通算150試合出場は大野均選手(東芝)や大田尾竜彦選手(ヤマハ発動機)に次ぐ快挙となる。

リーグ戦150試合出場がいかにとんでもない記録かということは、
で確認していただきたい。

自らの記念試合を、自らのミラクルプレーで締める菊谷選手はまさにスターである。

そんな菊谷選手の試合や技術が見られるのは残り数試合。
菊谷選手の魅力溢れるプレーにあなたも心をジャッカルされてみてはいかがだろうか。

文:首藤甲子郎
編集:横澤樹
トップ画像:©️キヤノン