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【日本最小ラガーマンが語る豆の眼力】神戸製鋼・エリス選手が魅せる世界レベルの「嗅覚」

トップリーグ第6節が各地で行われた。今回は神戸製鋼コベルコスティーラズ
SHアンドリュー・エリス選手の技術に首藤甲子郎氏が迫る。NZ代表で28キャップと
名実ともに世界レベルのエリス選手が決めたトライ。このトライには「フォローコース」と「嗅覚」という鍛錬された技術が隠されていた。

Ellis Web編集部

1.世界レベルの選手が見せる世界レベルの技術

トップリーグ第6節。

今回は各地で繰り広げられた熱戦の中から、
神戸製鋼コベルコスティーラズVSヤマハ発動機ジュビロの一戦で見られた技術について解説していきたい。

試合は38-19で神戸製鋼が勝利したが、ワールドクラスのトライを見せてくれた選手がいる。

神戸製鋼のSHアンドリュー・エリス選手(背番号9)だ。

エリス選手は、世界の頂点に君臨するNZ代表で28キャップを持つ、名実ともに世界レベルの選手である。

©神戸製鋼コベルコスティーラーズ

2.「フォローコース」に注目

注目のシーンは前半21分。

ヤマハ陣内10m中央ラックから右に展開し、SO山中亮平選手(背番号12)の正確なパスとCTB林真太郎選手(背番号14)の素晴らしいハンドオフにより突破したチャンスから、
内側にフォローしていたエリス選手に渡りトライを決めた。

ここで注目していただきたいのは、ラックからボールアウトをした後のエリス選手の「フォローコース」である。

通常のSHのフォローコースというのは、ボールキャリアの後ろを並走し常にボールアウトのベストのタイミングを伺いながら走るものだ。

しかし、このシーンでのエリス選手のフォローコースは、まさにトライを狙ったコース選択を行っていたのだ。

ラックができる瞬間に瞬時にショートサイドの数的優位の状況を確認し、そこに正確なパスを投げる。

ボールアウトを行った瞬間に通常の裏へのフォローコースではなく、味方が抜けた後にできるであろう相手DFの裏のスペースへと走り出しているのである。

通常であれば、DFに捕まった後のリスクを考え、様子を見ながら走っていてもおかしくないところだが、
エリス選手は100%確実に抜けることがわかっていたかの様な迷いの無い走りでパスを受けインゴールまで走り抜けた。

このトライへの嗅覚こそが、スクラムハーフというポジションながら、トライランキング上位に名を連ねる所以なのかもしれない。

動画:エリス選手のトライシーンは0:15から

3.似たトライが過去にも

実は、このトライと似たトライが昨年の日本代表対スコットランド戦でも見られた。

トライを決めたのは日本代表SH茂野海人選手(トヨタ自動車ヴェルブリッツ)。

自陣22m付近からFW、BKが繋いだボールをFL金正奎選手(NTTコミュニケーションズシャイニングアークス)からパスを受けてゴールポスト下にトライを決めた。

実はこの時、茂野選手が前述のフォローコースでトライをとっているのだ。

ちなみにこのトライは、ワールドラグビーアワード2016の年間最高トライ賞にノミネートされ大きな話題となった。

©神戸製鋼コベルコスティーラーズ

4.次節もSHの「嗅覚」に注目

SHは、FWとBKの繋ぎ役でもあり、そこには試合で起こる多くの情報が集中する。

また、その情報の中からベストなプレー選択を行い、正確なパススキルをはじめ多くのポジションスキルを必要とされる。

そんな状況の中でも最後の得点に直結するプレーを常に狙い、ここぞの瞬間に勝負にでるこの「嗅覚」こそ、多くの練習や、試合の中で鍛錬された技術である。

第7節は、ボールの行方だけでなく、結果にいたるまでの過程にも注目し豆の眼力をもってみてみると、よりラグビーが面白くなるかもしれない。

文:首藤甲子郎
編集:横澤樹
トップ画像クレジット:©神戸製鋼コベルコスティーラーズ